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🧪 現像のしくみ

フィルムは、撮影が終わった後に現像という処理を経なければ写真を確認することができません。それはなぜでしょう?なぜ現像が必要なのでしょう?

実は、フィルムの像は感光しただけではほとんど目視できません。これを『潜像』といいます。ですから、フィルムで記録した像を目に見える状態にするには、追加の工程が必要なのです。これが現像です。

潜像の状態のフィルムを、ある薬品に浸します。この薬品は、フィルム表面で潜像を作っている銀の「周りにあるハロゲン化銀」と化学反応を起こして、銀の量を増幅するはたらきをします。つまり、もともと銀が多い場所ほど濃くなっていくわけです。これが『現像液』です。

未現像のフィルムを現像液に長時間浸すことで、潜像が増幅されて目に見える状態になるのです。

実際の現像作業では、現像の後にいくつかの処理を加えて、保管できる状態のフィルムにします。作業をするときは、フィルムを現像用のタンクに移して都度薬品を出し入れながら進めていきます。

![現像タンク]

現像液を使って、潜像を目に見える状態にします。

現像しすぎを防ぐため、一度現像液の効果を止めます。『停止液』という専用の薬品を使うことが多いですが、水道水で現像液を洗い流すだけでも十分です。

現像は「銀の周りのハロゲン化銀を銀に分解する」プロセスでしたが、こんどは反対のことをします。

ずばり、未反応のハロゲン化銀をフィルム面から除去します。定着が終わるとフィルム面にハロゲン化銀はもう存在しないので、ようやく光に当てても問題ない状態になります。『定着液』という薬品が必要です。

定着が終わったあと、フィルム表面にある不要な物質をすべて洗い流します。ふつうの水道水を使います。

水洗促進剤 (クイックウォッシュ, QW)』という薬品を使って不純物を化学反応で取り除き、水洗時間を短縮する手法がよく取られます。

当たり前ですが、フィルムの洗浄が終わったら乾燥させます。ここでフィルムをタンクから取り出します。直射日光の当たらないところで自然乾燥させることもあれば、専用のドライヤーを使うこともあります。

![ネガシート]

乾燥が終わったフィルムを保管しやすい長さに切り分けて、最終的にネガシートにします。

ここでは、フィルム現像の理解度を1段階上げるために必要なテクニックを紹介します。

フィルムを薬品に浸して放置していると、フィルムに接している部分では薬品が化学変化していきます。化学変化が終わった物質はもう反応できませんから、ゴミが溜まっていくようなものです。これを『劣化する』と表現します。

一方、フィルムに接していない部分の薬品はまだまだ新鮮です。この部分を使わないのはもったいないですよね‼️ フィルム現像では、フィルム面に定期的に新鮮な薬品を送り込んで現像時間を短縮するために、『撹拌』という作業を行います。その名の通り、フィルムと薬品を入れているタンクを動かして、中身を混ぜるのです。

撹拌には3パターンあります。

  1. 間欠撹拌 (たまに撹拌する)…自家現像で一般的
  2. 連続撹拌 (ずっと撹拌する)…一部の現像タンクと自動現像機で使われる
  3. 静止現像 (一切撹拌しない)…たまにマニアがやる

撹拌のコツなりなんなりは直前レクチャーでたっぷり書いていますので、実際に現像するときに読んでみてください😉😉😉

同じフィルムでも現像液によって現像時間はまちまちですが、共通するのは仕上がりをコントロールする変数は温度と時間だということです。現像時間を延ばすと、より多くのハロゲン化銀が分解されてネガが濃くなります。液温を高くすると、化学反応が活性化されて増幅のペースが速くなります。逆も然りですね。

標準的な液温 モノクロネガティブの現像は、液温20°Cが標準です。みなさんがBOXで現像するときは、基本的には20°Cにして現像すると考えてください。

一方、カラーネガティブは40°C程度が標準です。液温が高く温度調整が難しいのとモノクロより工程が多いのとで、自家現像の難易度が高いとされています。

液温/時間短縮基準延長
低温減感減感基準
基準減感基準増感
高温基準増感増感

例えば、「時間を短縮したいから温度を上げる」「暗めに撮ってしまったので時間を延ばしてネガを濃くする」みたいなコントロールが考えられます。ここで登場するのが、『増感』『減感』という技法です。

前のページで『ラチチュード』を解説しました。増感・減感は、フィルムのラチチュードを利用してネガの濃さを操る手法です。

では、まずはメーカーの公式データに基づいて現像したとき、特性曲線がこんな感じだとしましょう。

![元の特性曲線]

ここで、現像時間を短くするとどうなるでしょうか?増幅量が少ないですから、ハイライトはいくらか濃くなりますが、シャドウはあまり出てきません。したがって、全体的にコントラストが低く眠たいネガになります。その代わり、増幅が少ないことによって粗が少ない滑らかな仕上がりになります。

![減感の特性曲線]

今度は現像時間を長くするとどうなるでしょうか?増幅量が多いですから、ハイライトは潰され、シャドウの諧調が強く出てきます。従って、全体的にコントラストが強くトゲのあるネガになります。その代わり、増幅が多いことによって粗い仕上がりになります。

![増感]

どちらかといえば増感のほうがよくやります。暗所に対応するためにラチチュードが広いフィルムを1段アンダーで撮って増感する、なんていう使い方をします。中には最初から増感現像が前提の高感度フィルムもあります。

意外かもしれませんが、写真を記録しただけではフィルムはその役目を全うしていません。一体どういうことなのでしょう?

デジタル写真が登場する前の「写真」を想像してみてください。どんな形式でしょうか?そうです、プリントされた写真ですよね。用紙に写真を印刷するための元データ、これが現像後のフィルムの役目なのです。

では、当時はどのようにしてフィルムから写真を印刷していたのでしょう?

フィルムからプリントするための『印画紙』と呼ばれる紙には、なんとフィルムと同様にハロゲン化銀が表面に塗られています。真っ暗な部屋でフィルム越しに印画紙に光を当てると、印画紙は元のフィルムをコピーするように感光します。感光した印画紙を、これまたフィルムと同様に現像・停止・定着すると、フィルムで撮った写真のコピーが印刷できる、というカラクリです。

このようにハロゲン化銀を使ったプリントなので、しばしば『銀塩プリント』と呼ばれます。現像したフィルムはプリントするための原画でしかありませんから、「フィルムの現像に成功する」というのは当然のことでした。

しかし、銀塩プリント自体は現在も写真屋さんで行われているものの、フィルムに光を通すやり方はほとんど行われなくなってしまいました。センサーが登場したことで、「フィルム上の写真をデジタルカメラで撮影したデータからプリントする」方法が標準的になってしまったからです。一旦デジタル化してしまった方がプリント前の微調整が楽ですからね。

ですから、写真屋さんのプリントは今でも銀塩プリントではあるものの、「フィルム現役時代の」銀塩プリントではないといえるかもしれません。


この辺りで、現像作業を理解するのに必要な知識は一通り揃えることができました。どうですか?なんでもできそうな気がしてきましたか?早く現像したくてうずうずしているあなたは、早速BOX現像ガイドをチェックしに行きましょう‼️‼️