コンテンツにスキップ

🎞️ フィルムのしくみ

先ほど、「光を化学反応で焼き付ける」といいました。いったいどういう仕組みなんでしょうね?

フィルム、フィルムといいますが、フィルムってどんな物体なのでしょう?

![パトローネの写真]

これが、一般的に店先で売られている状態のフィルムです。 円筒状の容器からシートが顔を出していますね。このシートこそが、「フィルム」の正体です。フィルムは多くの場合「パトローネ」と呼ばれる、完全に遮光された容器の中に巻かれています。

では、いったいフィルムはどういうしくみで光を記録しているのでしょう?化学の世界に入るのでアレルギーの方がいるかもしれませんが、フィルムの何たるかを理解するには重要なポイントです。ぜひ読んでおいてください‼️

ここで中高の理科を思い出しましょう。今から化学式が出てきます。(正確な化学式を書く方法を知らないのでご容赦)

2AgCl ---> 2Ag + Cl2

このような反応が起きます…分かりませんね。

AgClAgFなどの化合物を『ハロゲン化銀』と呼びます。ハロゲン、懐かしいですね。周期表の右から二番目にいる元素たちです。ハロゲン類は電子を1個吸収して陰イオンになります。銀は電子を1個放出して陽イオンになります。ハロゲン化銀はイオン結合ですね。

![雑な周期表]

そんなハロゲン化銀は光に対して非常に敏感で、少しでも光が当たると分解されて銀が出てきてしまいます。銀の粒子は黒ずんでいますから、放っておくと光が当たった部分が黒くなっていきます。

![あっ…]

…これ、光を記録するのに使えませんか?

フィルムは、ハロゲン化銀を表面に塗りたくったシートです。ハロゲン化銀が光に反応して分解する性質を利用して、当たった光を写真として記録します。当たる光が強いほど多くの銀が出てくるので、グラデーションを表現できるのです。

ハロゲン化銀が光で分解されて変化することを『感光する』といいます。

ハロゲン化銀の反応のし方は、フィルムによって異なります。フィルムのメーカーが、その反応のし方に何らかの意図をもって設計しているからです。

とはいえ、大まかな傾向はどれも同じです。ここではネガティブフィルムを考えますが、そのルールは「強い光に強く反応する」です。グラフにするとこんな感じ。

![グラフ]

ここに、いくつか情報を足していきましょう。このグラフから、反応は完全に直線的ではなく、暗い部分と明るい部分が潰れたS字になっていることが分かります。これは、反応が起きる最小の光量と、塗られたハロゲン化銀の最大反応量があるからです。ここから、そのフィルムが記録できる明るさの限界と、ネガの濃さの限界が分かりますね。

![グラフwith caption]

特性曲線の直線的な部分の範囲を、『ラチチュード (許容範囲)』といいます。これがいわゆる「露出設定をミスってもなんとかなる範囲」のことです。通常ネガティブフィルムは1,000倍(10段程度)のラチチュードを持っています。一方、直線部分の傾きを『コントラスト (諧調)』といいます。

一般的にラチチュードとコントラストは相反関係にあります。許容範囲が広ければ反応は緩やかになり、許容範囲が狭ければそれだけ陰影の差が強くなるからです。

ここまで、フィルムが光を記録するしくみとその反応の特徴を学んできました。

フィルムは、光に当たると化学反応を起こす物質を用いている。反応量には上限が存在するため、1枚で描写できる光の陰影には限界がある。

どうでしょう、フィルムが化学的にはどういう存在なのか、理解していただけましたか?

デジタルカメラにはない、フィルムに特有の事情をいくつかご紹介しましょう。

『フィルムはナマモノ』とよく表現されます。ナマモノは高温多湿を避け、冷暗所で保存するのがお作法ですね。

それもそのはず、フィルムは化学物質の反応を利用していますから、周囲の温度が高ければ高いほど余計な反応を起こしやすくなってしまうのです。また、感光とは直接関係ない素材も、高温多湿な環境で分解が進んでしまいます。

どちらにせよ放置した分だけフィルムは劣化していきますから、少しでも遅らせるために冷暗所で保管するのが吉です。未現像のフィルムは、基本的に冷蔵庫で保管するようにしましょう。

フィルムといえば現像です。撮り終わったら写真屋さんに持って行って、『現像』という儀式をしてもらわなくてはなりません。

現像ってなんでしょう?

実は、感光しただけではほとんど像が目視できません(潜像という)。現像は、「を目に見える濃さで出させる」プロセスです。ついでに、これ以上感光しないようにする『定着』というプロセスも行われます。定着まで終わったフィルムが、写真屋さんが返してくれる「ネガシート」の状態のフィルムです。

こちらの話は本題ですので、のちほど詳しくご紹介させていただくことにしますね😉😉😉

フィルムを撮っている途中で見てはいけない、とよく言われます。この理由はここまでの知識で十分理解することができます。

フィルムにはハロゲン化銀が塗りたくってあるのでしたね。ハロゲン化銀は光が当たると変化してしまいます。レンズを通った光だけに反応する、なんていう都合のいい挙動はしてくれませんから、本来シャッターが開いた瞬間以外光に当ててはいけないのです。

ここで、フィルムを扱うときの御法度を紹介しておきましょう。

  1. フィルムをカメラに装填するとき、必要以上にフィルムを引き出す

    →引き出した分は感光しきってしまう

  2. 撮影中にカメラの裏ブタを開けて写真を確認しようとする

    →パトローネの外にあるフィルムが全部ダメになる

  3. 撮りきったフィルムをパトローネに巻き戻す前に裏ブタを開ける

    →全ての写真がパーになる

  4. 自分で現像するために、フィルムを明るいところでそのままパトローネから引き出す

    →全ての写真がパーになる

ハロゲン化銀は、1/125秒なんていうごくわずかな時間に届く光に反応する物質なわけですから、日光はおろかスマホの一番暗い画面の光でも盛大に感光してしまうのです。


さて、これであなたはフィルムの何たるかを心得ました。もう最強です。いよいよ、フィルムで写真を撮ったあとのプロセス、現像のお話をすることにしましょう。